サヨナラ外人住宅

2008年12月19日 14:28

役場の職員がうちに来たのは
数ヶ月前のこと。
なんのために来たかと言うと、
おうちの立ち退きの話しをしに来ました。
















実はこの外人住宅に入居したときから、もろもろの事情で、
立ち退きになる予定という話を聞いてはいました。
ただ、いつになるかは不明だったので季節が変わるたびに
「また夏を越えられたねー」なんて話していました。

そんな立ち退き事情を知っていても引っ越してきたかったほど、この家のつくり
ロケーション、そしてこの外人住宅街の町並みが好きでした。
そして、この家の何十年の歴史の最後の入居者となることに
喜びすら感じていました。

住み始めてから、
これと言って行政からも不動産屋からも話がなかったので
「もう、立ち退きなんかないんじゃなーい?」ってあっけらかんと
過ごしていました。のんびりとおおらかを足して2で割ったような
私は、隣の家の空き地を広くなった庭に侵入しては
新しい草花を見つけて楽しんでいました。
そして数ヶ月前、とうとう、役場からも立ち退きの
具体的な話、時期の提示があったワケです。

ウワサをすれば、なんとやら。
いよいよ来たなって感じ。 ちょっと他人事だった立ち退きが
実は自分事だったと実感がわいてきました。
それは、引越しをしなければいけないということへの実感ではなく
この家が「壊される」という実感。

この白い壁も
黒いタイルも
高い天井も
木の扉も
お風呂も
トイレも
窓も

カタチあるものも何もかも。

凍えるような寒い冬も
この夏の暑さも
響く声も
空気も

カタチないものも何もかも。

この家が生まれてから、いったいどれくらいの家族が
ここで暮らしてきたんだろう。
アメリカ人も日本人もいろんな人々が出たり入ったり。
しあわせとふしあわせも出たり入ったり。











来るべきその日に向けて、
今は、この家の記録を残そうとせっせせっせと
写真を撮って記録に残そうと思っています。

それにしても。
仙台から遠く離れた沖縄で立ち退き体験だなんて
社会勉強しちゃってます。 


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